2010年10月7日木曜日

冬の掛軸

南天(ナンテン)
南天は難転に通じるとして、縁起植物に扱われています。
火災、魔除(まよ)けとして玄関前に植えられてきました。
京都鞍馬寺(くらまでら)の祭事、竹伐会式(たけきりえしき)や火祭りには南天の小枝を身につけます。

南天に福寿草
                                             
南天は果実にはドメステチンメチルエステル、樹皮にはナンジニン、ドメステンベルベリンなどの成分を含んでいて、防虫、防腐の効果があります。
葉を食物の掻敷(かいしき)に使用して、古くは米櫃(こめびつ)や鎧櫃(よろいびつ)などに入れていました。

鬼門や水周りなどに植えられたり、お祝い事の重箱に南天の実や葉があしらわれていたり、南天材の箸が長寿箸と云われて有り難がられているのも災厄除けの一端だとおもわれます。
実は南天実(なんてんじつ)という生薬で咳止めの薬としても使われています。

災難を転じて福となす・・・・・南天です。

2010年10月6日水曜日

冬の掛軸

椿(ツバキ)②
江戸初期庶民の間では、屋敷にツバキを植えるのは不吉なこととされていました。それには、人の首が落ちるように花が散るからだといわれていて、かならずしも確かなこととはいえません。
「神聖なツバキの木」は、神の社だけではなくて、寺や墓にもみられることで、屋敷に植えるのが忌まれたからなのでしょう。また、病人の見舞いにツバキの花を持って行くことも忌まれました。土地によっては、ツバキの木は化けて出るとも伝えられるそうで「化物寺(ばけものでら)」の昔話では、ツバキの床柱が化物となって現れたとも語られていました。
そういうなかで、ツバキのつぼみが上に向いてつくと、大雪あるいは小雪のしるしともいい、秋や寒中に咲くと、豊作のしるしなどというように、多くの俗信とも結び付けられています。また、腫れ物などを治すのにツバキの葉をあぶって貼ったり、火傷などを治すのにツバキの油を塗ったりするというように、さまざまな民間療法にも用いられています。
椿にはたくさんの力があります・・・。
                                                                        椿

2010年10月2日土曜日

冬の掛軸

椿(ツバキ)①

ツバキ椿)は、ツバキ科ツバキ属の植物の総称です。ヤブツバキ(藪椿)
または単にツバキともいいます。
一般にツバキの木は神意の現れるものと信じられ、神聖な木として崇められています。もともとは暖地の植物であり、柳田国男(やなぎたくにお)の説によると、ツバキのような木は、なにか人の力が加わらない限り、雪国には入りえなかったそうです。

若狭国わかさのくに現在の福井県南部に住んでいた八百比丘尼(はっぴゃくびくに)というひとが、八百歳の長寿を保ったという説があります。それは、ツバキの枝を持って日本各地を巡ったと伝えられているそうです。

もともと「椿」という漢字はわが国のツバキをさすものではなかったそうです。同じ国字がツバキにあてられたというのも、春の喜びを伝えるのにもっともふさわしい木と認められたからです。